漢方あるある?「美人を見たら当帰芍薬散を処方しなさい」??
当帰芍薬散って、どんな漢方薬?
『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』は【女性の聖薬】ともいわれ、2000年以上前の漢王朝時代に書かれた古典医学書にも紹介されています。
今でも、月経時のトラブルをはじめとした女性特有のさまざまな症状に広く用いられている、最も重要な漢方薬の1つです。
当帰芍薬散の構成生薬
当帰芍薬散は、その名の通り①当帰②芍薬をはじめ、③白朮④川芎⑤茯苓⑥沢瀉という生薬で構成されています。
どの生薬も素晴らしい効能があるのですが、話が長くなってしまうので、今回は構成生薬を代表して、芍薬について見てみましょう。
これは、芍薬の花です。
「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」という言葉を聞いたことありますか?
美しい女性を花で形容している言葉ですが、言葉通り、とても魅力的な花を咲かせていますが、芍薬が素晴らしいのは 花だけではありません。
これが生薬になった「芍薬」です。(根の部分を乾燥させ、輪切りにしたものです。)
煎じると、味はわずかに苦く、鎮痛、鎮痙作用があります。
余談ですが、こむら返り や しゃっくり などの筋肉の痙攣時に『芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)』という漢方薬を用いますが、この方剤は、芍薬と甘草の2種類のみで構成されています。
それくらい鎮痛、鎮痙作用が高い生薬で、当帰芍薬散により生理痛や肩こりなどの痛みをやわらげる作用が期待できるのも、芍薬の効果です。
どうして美人に処方しろって言うの?
当帰芍薬散が適応になるのは、病弱な胃アトニー体質者(胃壁が緩んで胃が動きにくくなっている状態)の冷え症、めまい、肩こり、むくみ、貧血、月経不順、生理痛、生理前後の不快症状、不妊症、更年期障害などです。
これらの症状に注目すると・・・
病弱な胃アトニー体質者
→ 身体の線が細く華奢(きゃしゃ)
血行が悪い
→ (肌の表面に血液が流れにくいので)色白の肌
むくみ
→ 肌の表面が しっとり している
などといった理由から、昔から当帰芍薬散を処方した方が良いとされる女性を『当芍美人(とうしゃくびじん)』と呼んでいたようです。(明治時代の画家で詩人の竹久夢二氏が描いた女性絵画を『夢二式美人』と呼んだそうですが、竹久氏の描かれた女性こそが、まさに『当芍美人』なのかもしれません。)
・・・と、まあ、今の世の中なら問題発言にもなりかねない話ですが、しかし、安心(??)してください。
漢方治療に関わる医療関係者のほとんどは、真面目に診療し、その結果として当帰芍薬散を処方しています。(当帰芍薬散を処方されたからといって喜んだり、処方されなかったからといって怒ったりする必要はありません。)
その証拠に、私は、必要だと判断すれば、男性にも当帰芍薬散を処方しています。(笑)
(この逸話は、単なる迷信です。)
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