生理不順は生命の危機!?
生理不順とは?
日本産科婦人科学会は『生理(月経)』のことを、
「約一ヶ月の周期で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮からの周期的出血」
と定義しており、『生理不順』は これが乱れている状態を言います。
『生理不順』の種類としては、生理周期が長い/短い、出血期間や出血量が多い/少ない、などと分類されますが、それらの原因の大部分は西洋医学的には『ホルモンバランスの乱れ』と言われています。
一方、東洋医学はホルモンバランスの乱れの原因となった『その前の段階』を重要視し、治療します。
今回は、その『その前の段階』を解説してみます。
三大欲
みなさんは、『三大欲(三大欲求)』という言葉を聞いたことがありますか?
三大欲とは
①食欲 : 生きるためのエネルギー(栄養)を取り入れるために食べる欲
②睡眠欲 : 一日活動したことによる筋肉や内臓などの疲労を回復させるために寝る欲
③性欲 : 子孫を残すために交配する欲
で、人間だけでなく、ほとんどの動物が本能として持っていると考えられています。
なぜなら、動物の本能として重要なのは、「生きる」という本能と「子孫を残す」という本能だからです。
自分自身が どれだけ長生きしても子孫を残さなかったら自分の代で種が絶滅してしまいます。
しかし、「子孫を残す」ためには、何よりも自分自身の「生き抜く力」が重要で、我々動物は、自分の身が危ないような極限状態では、「子孫を残す」よりも「生きる」という選択をします。
それは、(特に哺乳類のメスの場合)今、自分自身が生命の危機に置かれているような状況では、赤ちゃんを育てる余裕など無いからです。(自分が死んでしまうと赤ちゃんも死んでしまうからです。)
あまり良い例えでは無いのですが、いわゆる『拒食症』や『胃腸虚弱』で『飢餓状態』になってしまった女性は、栄養失調のため、どんなに若くても生理が完全に止まってしまいます。
極限状態では、生殖に関するホルモンを分泌するための体力を、睡眠や食事をするための体力に使いたいからです。
つまり、大袈裟に言えば、
寝不足・不摂生な生活・精神的ストレス状態・極端な冷え症 などによって『生命の危機的状況』の2~3歩手前にいるような状態では、我々は『性欲』よりも『睡眠欲』『食欲』の方を重要視し、それも ままならない状況では、女性は『生理不順』が生じてしまいます。(それ以上、悪化すれば、生理が止まることだって考えられます。)
※余談ですが、特に男性の場合、「瞬発的な疲れ」といった状況では、逆に「早く子孫を残しておきたい」という『性欲』が生まれがちですが、それがやがて「慢性疲労」となると『性欲』が低下していきます。
生理不順の治療法の違い
西洋医学的な生理不順の治療で最も一般的なものは、ホルモン剤の投与ですが、これは、根本的な治療とは言えません。
東洋医学的には、『ホルモンバランスの乱れ』は結果的に生じたものなので『生理不順の原因』とは考えずに、その前の『生命の危機的状況=慢性疲労』の治療が必要と考えます。
もちろん「出血が止まらない」「生理痛が酷すぎる」といったような症状に対してホルモン剤や鎮痛剤を投与することは漢方薬よりも効果的な場合が多いです。
でも、それだけで治そうとするのではなく、「そういった状態になるまで放置しない」「体力を貯めることで今後は そういった状態にならないようにする」といった治療こそ重要なのです。
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