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どこにも書いてない漢方薬入門~エキス薬と煎じ薬は何が違うの?

この記事の所要時間: 319

服用方法別漢方薬の5分類

 

①煎じ薬

生薬を水に入れ煮出したもので、2000年以上前から用いられている漢方薬の基本です。

 

②エキス剤

煎じ薬は、携帯性が悪いなどの不便な面が多いため、煎じ薬をフリーズドライさせたのがエキス剤です。

フリーズドライ化する際、乳糖・コーンスターチ・デンプンなどの賦形剤(添加剤)が用いられます。

 

③丸薬

煎じ薬に煉蜜や米糊を加えて丸めたものです。

『地黄(ジオウ)』など消化器に負担が掛かるような生薬を使用している漢方薬の作用を まろやかにすることで長期連用しやすくなるという利点があります。

 

④散薬

生薬を粉末にしたものです。(水やお湯に入れても溶けません。)

白湯に入れ、緑茶のように抽出した液体を服用しますが、生薬粉末が浮遊しやすく口触りが良くありません。

 

⑤錠剤

西洋薬のようにコーティングしているので飲みやすいのですが・・・・(後述します)

 

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えっ! 漢方薬は納豆?

 

そもそも、漢方薬の どんな成分が身体に良いのか?・・・実は これ、我々も分かりません!!

「えっ?」と思われるかもしれませんが、正直、未だに分からないところが多いのです。

 

例えば、葛根湯や小青龍湯といった漢方方剤に含まれる『麻黄(マオウ)』という生薬から『エフェドリン』という成分が検出されたのは、1885年のことです。

現在、エフェドリンは、昇圧剤 や 感冒薬・気管支拡張剤などに使用される重要な西洋薬の1つですが、東洋医学では西洋医学の実に1885年以上も前から「何で身体に良いのか分からない状態」で使われ続けていたのです。

 

同じことが納豆や味噌などといった食品にも当てはまります。

納豆は、昔から体に良いと言われ続けていますが、納豆から『ナットウキナーゼ』という酵素が発見されたのは1980年代で、完全に後付けです。

 

つまり、漢方医学は、その長い歴史の中で淘汰され、残った『生薬の組み合わせ(方剤)』こそが、身体に良い理由と言えます。

 

 

エキス薬と煎じ薬は何が違うの?

 

製薬会社がエキス剤や錠剤を製造する際は、今 発見されている生薬の成分に注目し「Aという生薬に含まれているaという成分が、この製品にどれくらい存在し それが体内に何%吸収されているのか?」というデータを基にしています。

ということは、今はまだ見つかっていないbやcなどの成分が製造過程で(加熱処理などで)無くなってしまっている可能性もあります。

 

また、【煎じ薬】を【本格ドリップ珈琲】に、【エキス剤】を【インスタント珈琲】に例えて説明することがあります。

最近のインスタント技術は向上していますが、本格ドリップと比べると『コク』や『深み』などが異なりますよね?

もしかしたら、珈琲で言う『コク』や『深み』に相当するものが(アロマセラピーのような要素などで)漢方薬には必要なものかもしれません。

 

 

 

他にも、「フリーズドライ化する際に賦形剤が加わることで丸薬のように効き目が まろやかになってしまい、煎じ薬よりも効果が弱くなってしまうのではないか?」という意見もあります。

 

ちなみに、私の診療所では、初めて漢方薬を試される方には【エキス剤】を処方し、体力の向上や薬効を考慮して『仕上げの薬』として【煎じ薬】を処方することが多いです。(ただ、エキス剤の時点で元気になられて煎じ薬まで行かない事も多いのですが・・・)

 

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