「あれっ? 前回の漢方薬と味が違う。」それには3つの理由が!!
前と同じ漢方薬なのに・・・
病院や薬局で処方された漢方薬(特に煎じ薬)が、前回と同じハズなのに色や味が違うような気がする・・・といった経験はありませんか?
これには、大きく分けると3つの理由が考えられます。
① 手技的な問題
煎じ薬は、その性質上、色や味に多少の違いが生じてしまうことがあります。
土瓶や電気煎じ器などを用いて家庭で煎じ薬を作る際の、火力や煎じ時間、煎じ終了後すぐに生薬を取り出さない・・・などの理由です。
② 産地や季節、天然/栽培 などの違い
食べ物に〈旬〉があるように、実は漢方生薬にも〈旬〉があります。
当帰芍薬散などに用いられる『芍薬(しゃくやく)』や、葛根湯などに用いられる『葛根(かっこん)』という生薬は、いずれも植物の根っこを乾燥させたものです。
植物の花が咲いてしまうと根に栄養がいかないので、天然ものは花が咲く前に収穫したり、栽培ものは花の咲く時期にわざと花を摘んで根を大きくさせたりするなどの工夫をしていますが、このように収穫時期や状況により同じ種類の生薬にも差が生まれてしまいます。
また、以下の写真を ご覧ください。
これは両方とも『茯苓(ぶくりょう)』という生薬です。
この生薬は、伐採して3~5年経た松の根に生じる サルノコシカケ科の『マツホド』という菌類(きのこ や 酵母の仲間)の菌核と呼ばれる部分を乾燥したものです。
見た目の違いは菌核の加工・保存方法(切り方や削り方)の違いで、一般的には薬理作用に大きな差は無いです。
この違いは、食べ物で例えると 同じ『苺』でも品種により色や大きさ、味が全く異なるのと同じです。
(1月に食べたショートケーキと7月に食べたショートケーキの苺の見た目や味が異なるのは仕方が無いです。)
③ 体質が変化した
よく「妊娠したら酸っぱいものが欲しくなった」とか「疲れている時には無性に甘いものが欲しくなる」といったように、私たちの体は、その状況(体内バランスや疲労度など)により欲する味覚が異なります。
他にも、乳幼児期には苦い味を過剰なくらい嫌いますが、自然界で苦い・辛いものには毒性があったり 血管拡張などによる循環系の変化を来たしたり といった作用が強いことがあるため、体力の少ない乳幼児が本能的に それらが体内に入るのを拒絶しているのではないかと考えられています。
つまり、初めに漢方薬を服用した時は、その時の状況(『証(しょう)』といいます)に合った漢方薬だったけれど、 今は体質改善されて必要ないものになっている という可能性があります。
一方、その逆で、初めは全然合わない味だと思っていたのに、飲み慣れる(体質改善してくる)と なんだか美味しく感じるようになった という変化もあります。
これらの変化から『性(=証?)に合う/合わない』という言葉が生まれたという説もあります。(「〇〇さんの言動は私には性に合わない」などのように。)
人間の身体って面白いですね。
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