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漢方薬はパンダの風邪も治す!! ~ 上野動物園で本当にあった話

この記事の所要時間: 348

パンダが日本にやってきた!

 

1972年、ランラン(蘭蘭)とカンカン(康康)の2頭のパンダが初めて日本にやってきた時の話です。

この2頭のパンダは日中国交回復の象徴として国賓扱いで来日し、パンダを受け入れる上野動物園には政府から「決して死なせないように」という特命が出されました。

それを踏まえ、上野動物園では『パンダ特別飼育チーム』が結成されました。

 

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当時、パンダは 生態の分からない非常に希少な動物で、飼育チームは試行錯誤しながら飼育していたのですが、来日10日目の夜に、カンカンが重い風邪をひいてしまいます。

 

ここで、飼育チームは「栄養価の少ない繊維質の多い竹で あれだけ大きくなれるというのは、腸内に有用な細菌や原虫がいるに違いない」と考え、「安易に抗生物質を投与すると、そういった良い腸内微生物まで殺してしまうのではないか」と思い悩みました。

その時、「パンダは中国から来たのだから漢方薬が良いのではないか?」という意見が挙がり、すぐさま漢方薬を購入しミルクに混ぜて服用させたところ、翌日には、見事、カンカンの風邪が治ったのです。

 

・・・このエピソードは、NHKの『プロジェクトX』でも取り上げられました。

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※ プロジェクトX 挑戦者たち パンダが日本にやって来た~カンカン重病・知られざる11日間~ [DVD] 販売元: NHKエンタープライズ 発売日 2013/12/20

 

 

 

実は、その漢方薬を処方したのは・・・

 

手前味噌で大変恐縮ですが、ここで、カンカンに漢方薬を処方したのが、筆者の祖父です。生前、祖父は、この時のエピソードを色々話してくれました。

 

このやりとりには、ちょっとした笑い話があります。

 

日本と中国の政治的配慮から、パンダが風邪をひいて死にそうになっているという事は、トップシークレットでした。そのため、上野動物園の職員の方は身分を隠し、「息子が急に風邪をひいてぐったりしているので助けてほしい」とだけ話してきました。

 

(祖父)「息子さんの年齢を教えて下さい。」

(職員)「だいたい6歳くらいです。」 (本当は2歳でしたが、人間の年齢に換算したのでしょう。)

(祖父)「体重は?」

(職員)「40㎏です。」

(祖父)「わかりました。では風邪の漢方薬を処方します。それにしても大きいお子さんですね。」

 

 

この時のエピソードは、当時 飼育課長 を務めていた 故 中川志郎 氏(元 上野動物園園長) の著書にも詳しく書かれています。(漢方薬のおかげで 一晩で すっと良くなったとコメントされています。)

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※ パンダがはじめてやってきた!- カンカンとランランの記録  中川志郎 著 (中公文庫)

 

 

 

なぜパンダは漢方薬を飲んだのか?

 

でも、言葉も通じないパンダが、どうして漢方薬を飲んだのでしょうか?

以前、私の診療所で、ペットの犬に漢方薬を飲ませたいという依頼を受け、症状に合った漢方薬を処方したところ、その犬が自ら漢方薬をペロペロ舐め、元気になった という例もあります。

 

これは、東洋医学を語る上で重要な部分でもあるのですが、漢方薬として使われる生薬のほとんどは自然界に自生している植物の根や茎などです。

そして、野生動物の中には、そういう植物を薬草として本能的に食しているものもあります。

つまり、パンダは本能的に(自ら進んで)漢方薬を飲んだのだと思います。

 

 

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人間だって、例えば「妊娠すると酸っぱいものが欲しくなる」「疲れている時に甘いものが欲しくなる」という様に、その時その時の体調によって欲する味覚が異なります。

 

漢方薬を口に含んだ時、

「苦くても辛くても飲めるものは、身体に合っているかもしれない漢方薬」

「口に含んだとたんに『うぇっ』ってなるものは、身体に合わない漢方薬」

という考え方もできます。

 

 

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