風邪で処方される西洋薬と漢方薬の大きな違いとは?
西洋風邪薬
西洋医学では「風邪薬」の事を「総合感冒薬」と呼びますが、これには、
①くしゃみ・鼻水・鼻づまりを改善する薬・・・抗ヒスタミン薬、血管収縮剤
②咳・痰を改善させる薬・・・鎮咳薬、去痰薬(いわゆる、咳止め、痰切り)
③発熱・喉や関節の痛みなどを改善させる薬・・・解熱鎮痛薬
といったものが含まれます。
ここで、誤解しないでいただきたいのは、
「西洋風邪薬は、風邪の原因を治しているのではなく、風邪によって出現した症状を抑えているだけ」
ということです。
以前の投稿で、「一般的な風邪の原因の ほとんどはウィルスによるもので、抗生物質では絶対に治らない」「ウィルスを やっつけているのは自分の抗体だ」という話をしました。(詳しくは、こちら)
抗体が作られている間に、発熱や痛みで食事が出来なかったり、くしゃみや鼻水で息苦しくなって よく休めなかったりすると、体力が低下して抗体完成までに時間が掛かるのは良くないから、このような風邪薬を服用するのです。
しかし、西洋風邪薬は、その性質上、胃腸障害をきたすものがほとんどです。
特に『ロキソニン』などの解熱鎮痛剤には「胃粘膜保護作用を低下させてしまう」という副作用があり、そのため、『ムコスタ』などの胃腸薬と併用して処方されます。
風邪によって胃痛や下痢などの胃腸障害の可能性がある状態で、胃腸障害をきたすことが分かっている薬を服用する、といったことをしているのです。
漢方風邪薬
漢方薬は病名で処方するのではなく病気になった人の状況を診て処方するものなので、私は「漢方風邪薬」と呼ぶことに本当はとても抵抗があるのですが、便宜上、いわゆる「漢方風邪薬」は、
①虚弱な人の初期の風邪に用いることが多い処方・・・桂枝湯、香蘇散など
②体力が普通~多い人の初期の風邪に用いることが多い処方・・・葛根湯、麻黄湯、小青竜湯など
③消化器症状を伴う後期の風邪に用いることが多い処方・・・柴胡桂枝湯、小柴胡湯など
などと分類されます。
漢方風邪薬の特徴は、
「漢方風邪薬は、血行改善作用などで風邪の原因を治すための抗体の産生を促進させるのと同時に、風邪によって出現した症状も抑える」
ということです。
しかも、特に上記③は漢方胃腸薬(と、便宜上言ってしまいますが)にも使用できる漢方薬であり、
「漢方風邪薬は、風邪薬としての作用があると同時に健胃薬という性質を持つ」
ということも大きな特徴です。
ここで言う「健胃薬(胃を健康にさせるという意味)」の作用は、「胃の血流を改善させることで胃を動きやすくする作用」なので身体に優しく効果的です。
しかし、漢方薬は即効性という点では西洋薬に劣る点もあるので、
どうしても外せない仕事や行事があるなど、この日だけはどうしても乗り越えなければならないといった状況では、西洋風邪薬と漢方風邪薬の併用も仕方がないかもしれません。
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