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生薬解説

リコリスティー って何?~漢方嫌いの医者が誤解している『甘草』

この記事の所要時間: 50

甘草(かんぞう)は素晴らしい生薬

 

甘草(英語名:リコリス)は、地中海地方・アジア・ロシア・中国・北アメリカなどに自生するマメ科の植物で、欧米では『リコリス菓子』や『ルート ビア』と呼ばれるソフトドリンクなどの原料として知られており、日本でも『菓子類』や『醤油』『味噌』『佃煮』『ふりかけ』などの甘味料として用いられるなど、用途としては、大半が食用です。

 

『甘草』という名前を知らないだけで、意外と我々の身近にあるものなのに、これが漢方薬として用いられた途端、漢方嫌いの医者からは敵視されてしまいます。

 

これには、大きな誤解があります。

 

 

 

漢方嫌いの医者が思い込んでいる甘草の誤解

※この段落は、興味のない方は読み飛ばしていただいても全く問題ありません。

 

漢方嫌いの医者の誤解は、内分泌疾患である『原発性アルドステロン症』に似た症状を引き起こす『偽性アルドステロン症』という病気があるからだと思います。

甘草には『グリチルリチン』という成分が含まれており、『偽性アルドステロン症』は『グリチルリチン』の過剰摂取が原因の1つと言われていますが、そもそも、内分泌の専門医でもない限り、ほとんどの医者は国家試験レベルの知識はあるものの、実際には診たことがないような病気です。

 

 

平成18年に作成された厚生労働省の報告書では、偽性アルドステロン症の発症と甘草(グリチルリチン)の摂取量には、明確な因果関係を見つけることはできませんでした。(厚生労働省の報告書の原文はこちら

※平成18年というと「古い情報じゃないか」と思われますが、これより以後、新しい報告書は作成されていません。

この報告書によると、甘草によると思われる偽性アルドステロン症の発生件数は、平成16年度で わずか24人、平成17年度では17人です。

甘草は全漢方薬の実に7割以上に使用されており、年間 数千万人が漢方薬を服用している中での発生件数と考えると、「どんな人でも過剰に摂取すれば引き起こされる病気」というよりも「何らかの素因のみられる人が甘草を摂取したことで発生した病気」という可能性もあります。

 

 

国家試験レベルの話しか知らない漢方嫌いな医者は、「偽性アルドステロン症=グリチルリチン=漢方」と安易に考え、容疑者とも言いきれていない甘草を犯人扱いしているのです。

我々漢方医からすれば、「分からないなら『私は専門外なので専門の先生に聞いてください』と言ってくれればいいものを、知ったかぶって『漢方薬は危険だ』なんて言うのは、いい迷惑だ。」と思ってしまいます。(※あくまでも、個人的見解です。)

 

 

 

漢方嫌いの医者が知らない甘草の効能

 

甘草を原料にした薬は、実は、西洋薬でも多く使われています。

湿疹・皮膚炎・蕁麻疹などの軽症~肝炎・肝硬変・肝臓癌といった重症に至るような〈肝機能の異常〉に対する治療薬に『強力ネオミノファーゲンシー(略して『強ミノ』)』という注射薬がありますが、この薬の主成分は甘草です。(詳しく説明されている製薬会社のHPはこちら

 

『強ミノ』は、日頃よく使われる製剤ですが、甘草が原材料だと知っている医者は少ないです。

つまり、漢方嫌いの医者は、漢方の使用を中止しておいて、実は、西洋薬で同じ材料を投与しているかもしれないのです。(矛盾してますよね?)

 

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甘草は、ショ糖の50倍の甘さを持っていながら低カロリーなのが特徴です。

甘さを表現すると「はじめは緩やかに やって来て、それが後から強い勢いで追い抜いていく」といった感じです。(※あくまでも、個人的見解ですが、伝わりますか?笑)

 

巷では、甘草の煎じ薬を『リコリスティー』と呼び、某テレビ番組で超有名女性シンガーが愛用しているシーンが放送されてから、喉の痛みや、咳を鎮める効果がスゴいと話題になっているそうです。(ネットで「リコリスティー」と検索してみてください。)

実際、甘草のみを煎じたものを漢方では『甘草湯(かんぞうとう)』と呼び、鎮痛・鎮咳作用があり嗄声や喘息に対して効果的です。

 

他にも、上記のような肝庇護作用(かんひご:肝臓を守ってくれる作用)による抗アレルギー作用・抗炎症作用も認められ、また、抗酸化作用・消炎作用・美白効果から化粧品などの原料として用いられることもあります。

 

・・・と、まあ、少し挙げただけでも素晴らしい効果が期待できる漢方生薬ですが、例えば、身体に良いからと味噌ばっかり食べたり、逆に、過剰摂取は身体に悪いからと全く塩分を摂らなかったりといった生活を続ければ、結果的に身体に悪い効果を来すように、何事も「ほどほど」にすべきです。

 

 

 

リコリスジンジャーティー

 

この度、東京・上野アメ横にあります純喫茶【珈琲王城】で『かんぽう×美』が監修した甘草が主成分のお茶(商品名【リコリスジンジャー】)を販売することになりました。(【珈琲王城】のHPは、こちら

 

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この商品には、『甘草』だけでなく『乾姜(かんきょう:生姜を乾燥させたもの)』が配合されております。

※このリコリスジンジャーは、理論上、1日3~4杯飲まれても問題は無いですが、上記のように、何事も「ほどほど」が大切です。(1日1~2杯で十分効果的です。)

 

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