鹿茸(ロクジョウ)の滋養強壮作用
鹿茸(ロクジョウ)って何?
一般的に、雄鹿は 春頃に固い角が脱けて 新しい角が生え、秋に完全に骨化して再び固い角になります。
鹿茸(ロクジョウ)とは、まだ生え始めの幼い角(これを袋角と言います。)を乾燥させたものです。
骨化していない袋角は、まだ血も通っていて 触ると柔らかくプニョプニョしてますが、その形が茸(キノコ)に似ていることが、その名の由来です。
高貴な生薬と呼ばれる理由
まずは、この写真を ご覧ください。
これは、鹿茸を乾燥して輪切りにしたものです。
非常に香ばしい香りで、水で煎じると、やや甘味があります。
古代中国では、鹿は不老不死の生き物で何千年も生きるという俗説があったそうです。
中でも、鹿茸は「毎年 毎年 生え変わるくらいだから、そこには豊富な栄養が存在しているに違いない。」と、貴重な不老長寿の神薬として扱われていました。
具体的には、滋養強壮・強精・不妊症・貧血・鎮痛薬・不眠・更年期障害・低血圧症・健忘症・喘息・骨粗鬆症・等さまざまな薬効があるとされています。
私の経験上、滋養強壮の中でも造血作用に優れており、不妊・性機能低下・冷え症・腎臓障害・身体の衰弱などで お悩みの患者様に対しての効果が期待できると思います。
現代医学では解明されない〈滋養強壮〉
鹿茸は、その鹿が若ければ若いほと骨髄部分の密度が高く、栄養や各種成分の含有量が充実し 高級品とされています。
しかし、現在の科学的に分析すると、鹿茸の成分は、
コラ-ゲン・カルシウム・リン・マグネシウム・女性ホルモン・コレステロール・アデノシン三リン酸・コンドロイチン・多種のアミノ酸・脂肪酸など
といったものであり、特に際立った成分は発見されていません。
以前の投稿でも触れましたが、漢方生薬のほとんどは、『その生薬の何という成分が、どういう作用で身体に効果があるのか?』というものが分かりません。
正確に言うと、一部 見つかった成分もありますが、大部分は、まだ発見されていない成分(酵素など)なのです。
納豆が身体に良いというのは、ナットウキナーゼという酵素が見つかる何十年以上も前から分かっていた事ですよね?
我々の先人は、自然界から ありとあらゆるものを いただいてきたことで多くを学びました。
フグやトリカブトを食べると死んでしまうことも、動植物だけでなく鉱物にも身体を良くする作用があるものもある ということも、すべて、先人の経験・知識によるものです。そこには多くの犠牲もあったことでしょう。
そういう意味では、今後、鹿茸から新しい成分が検出されたとしても、その成分が どうのこうの という事よりも、先人の知恵の賜物(たまもの)である鹿茸や、その他、滋養強壮に効くといわれている生薬の組み合わせにより、病気になりにくい身体を維持していくことが重要だと思います。(数千年の年月が それを証明してくれているのです。)
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