癌と漢方
癌って何だ?
私よりも何十年も年上の先輩医師の話では、医学生時代に「あと十年もすれば癌に対する特効薬が開発されるから、内科に入局したら仕事が無くなるよ。」と言われていたそうです。
それから数十年が経過した現在、その頃より医療は確実に発展していますが、残念ながら癌の特効薬は開発されていません。
以前、癌に対する西洋治療と東洋治療の違いについて書きました。(詳しくは、こちら)
少しだけ おさらいしますと・・・
よく「○○さんの死因は××癌でした」と耳にしますが、「癌で死ぬ」という表現は厳密に言うと正しくありません。
例えば、末期の肺癌患者さんの場合、その悲劇的な結末は、正常な肺細胞が癌細胞に変わるため肺が機能しない『呼吸不全』や免疫力低下による『重症感染症』です。他の部位の癌も、例えば肝臓癌が拡大すれば『肝不全』、癌が全身の内臓に転移・拡大すれば『多臓器不全』という状況になってしまいます。
つまり、「癌になったから死亡する」のではなく、その後に起こる「癌によって正常な細胞が急速に減少するから死亡する」のが、癌の恐ろしさの正体なのです。
細胞製造工場??
我々の身体は、毎日毎日新しい細胞を作り出し(細胞分裂)、古くなったり使いものにならなくなったりした細胞の補てん をしています。
細胞分裂のしくみは、まだ分かっていない事も多く、複雑で難しい割に 理解したとしても それほど重要ではありません。
なので、前回、『かんぽう×美』的には、我々の細胞が、体内のいたるところにある【細胞製造工場】で作られていると仮定して説明しました。(詳しくは、こちら)
重要なのは、以下の2点です。
①細胞を作る工場は、新しければ新しいほど正確に細胞が作られ、老朽化したり工場への電力(=血流)が少なくなったりすると『細胞の欠陥品(タコやイボ~癌など)』が作り出される率が高くなる。
②細胞は『元々ある細胞』を元に増殖(細胞分裂)されるから、切断されたり癌細胞に侵されて障害を受けたりしてしまうと、新しい細胞が作られない。(再生しない。※例外はあります。)
癌は、歳を取るほど、また、タバコやアルコール・感染(ピロリ菌など)といった環境要因によって発症する危険度が高くなります。
余談ですが、〈癌家系〉という言葉がありますが我々の認識では癌は遺伝しません。(※遺伝性については例外はあるようですが、一般的ではありません。)その家庭その家庭によって生活習慣などが他の家庭と異なるから、癌になりやすい家庭を〈癌家系〉と言ってしまっているのです。
だから、「ウチは癌家系だから、いつか私も絶対に癌になる・・・」と不安になるのは間違いです。
言い方が良くないかもしれませんが、長生きすればするほど、どんな方でも癌には なってしまうのです。それが青年期なら、環境要因が原因なので、全身の血流を改善するような生活をし、定期健診など早期発見・早期治療を心がけることが重要です。
つまり、【細胞製造工場】のメンテナンスをしっかりすることで癌になりにくい身体を維持するのです。
癌と戦うためには
もし不幸にも癌になったら、現状の正常な細胞を護り、癌細胞と戦える唯一の武器である『免疫細胞』を多く製造させるようにすることが重要です。
具体的には、全身の血流を改善させる作用の期待できる漢方薬で、癌によって障害を受けている内臓や筋肉・骨などの部位にある細胞へ(今までよりも)多くの血液を送ることで、内臓不全や重症感染症を防ぐことと、『鹿茸(ろくじょう)』『冬虫夏草』などといった、今の世の中では まだ発見されていないけれど我々の身体に大きく貢献している物質を含んだ生薬を使って滋養強壮作用を高めることが大切になってきます。(詳しくは、こちら)
いずれにしても、癌になったからといって無条件で諦める必要は、全くありません。
西洋医学では不可能でも、東洋医学では可能な場合もありますし、両者を併用することも十分可能です。
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