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むくみ

めまいを本気で考えると漢方治療の本気が見えてくる!

この記事の所要時間: 527

「めまい」の原因

 

疲れている時やストレスが かかっている時などに「めまい」が出現したことがありませんか?

「何か悪い病気かも?」と怖くなって病院に駆け込んでも、ほとんどの場合、「検査上は異常ありません」と言われ〈吐き気止め〉などを処方されて帰されてしまう、といったパターンになってしまいます。

 

「異常がある」から病院に来ているのに腑に落ちないですよね?

 

今回は、この「めまい」を『かんぽう×美』的に考えてみます。

 

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「めまい」を起こす原因としては、

①耳の異常
②脳の異常
③その他

が挙げられます。

例えば、コンサート会場で興奮して失神したり、訃報などを聞かされてショックで気絶したりする反応は、過呼吸や急激な血圧の変化、血管の収縮/拡大などによって一時的に脳虚血の状態になることで生じます。

他にも鉄欠乏性貧血などの酸素不足による「めまい」も存在しますが、これらは、どちらかといえば特殊な例であり、「めまい」の原因は圧倒的に①耳の異常と言っていいと思います。

 

 

 

耳の構造を理解しよう

 

あまり、医学生の授業みたいな事を書きたくはないのですが、「めまい」のメカニズムを知る上の最小限の説明をしたいと思います。(ここから先は、分かりにくければ軽く読み流しても大丈夫です。)

 

まずは、以下のイラストを ご覧ください。(クリックすると別枠で拡大します。)

 

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このイラストは、厚生労働省のHPに掲載されているものに一部加工(赤丸など)を加えていますが、この赤く囲んでいる部分(『三半規管』と『前庭』という場所)が「めまい」の発生元です。

 

 

『三半規管』の内部には『リンパ液』という液体が流れています。そして、同じく『三半規管内』にある『感覚細胞』が、そのリンパ液の流れ方の変化を察知して「頭が今どのように動いているのか」を脳に知らせることで平衡感覚を保っています。

公園にあるグルグル回る遊具や遊園地のコーヒーカップの乗り物に乗って過剰に回転すると、回転が収まってからも しばらく目が回ることがありますよね?これは、回転終了後もリンパ液が まだ不規則に流れているからです。(リンパ液の波のうねりが落ち着くまで時間がかかるのです。)

 

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一方、『前庭』の内部にも『リンパ液』が流れていてますが、『前庭』には『膜』と『耳石』と呼ばれる炭酸カルシウムの細かい結晶が存在しています。そして、この『膜』に存在している『感覚細胞』が、頭位の変化によって『耳石』がどのように『膜』を圧迫するかを察知し、脳に知らせることで平衡感覚を保っています。

 

 

つまり、我々の身体は、

『三半規管』という場所で、リンパ液の流れ(波の動き)で「回転性の変化」を、
『前庭』という場所で、耳石の位置で「上下の変化」を、

それぞれにある感覚細胞が感知し、脳に知らせているのです。(ここがポイント!)

 

 

 

耳が原因の「めまい」のメカニズム

 

さあ、ここからです!(笑)

 

みなさんが悩んでいる、「ヒドい乗り物酔い」のような症状や、「フワフワと宙に浮いている」ような症状、眼振を伴うような「目がグルグルまわっている」ような症状の「めまい」の原因としては、

①『三半規管』に『耳石』が侵入してしまったことによるもの
②『リンパ液』の量が過剰になることによるもの
③外耳炎や内耳炎などの『炎症』によるもの

が挙げられます。(このうち、①と②が その ほとんどです。)

 

 

①は特に、『良性発作性頭位めまい症』という病気であり、『三半規管』内のリンパ液の流れは問題ないのに、侵入してきた耳石が感覚細胞に直接ぶつかることで脳が「今、頭が回転している!」と錯覚してしまっている状態です。

これは、頭を強く打った衝撃や、②リンパ液の量が多くなりすぎて、その水圧などで耳石が『前庭』の『膜』から剥がれてしまったことが原因です。

 

これを『スノードーム』という置物で例えると、地面(前庭の膜)にあった雪(耳石)が舞ってしまっている状態を想像してみてください。

 

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この状態は、耳石が舞っている間は、正直言って どうにもなりません。

スノードームも、しばらくすれば雪が地面に戻るように、耳石が三半規管の壁の部分に落ち込むまで、できるだけ安静にすることが治療になります。

症状が少し落ち着いたら、頭を上手く動かして耳石を三半規管から流し出す方法もあります。(「エプリー法」でネット検索してみてください。動画付きで解説しているサイトがいっぱいあります。※すべての疾患に有効ではありません。)

 

 

 

漢方での「めまい」治療の効果

 

「めまい」の原因を東洋医学的に考えれば「水の代謝の異常」ととらえます。

つまり、『三半規管』『前庭』に流れているリンパ液の量を落ち着かせることが一番重要です。

 

漢方の世界では「耳にみずが溜まっている状態だね」などと言うことがありますが、これは、『水毒』と呼ばれる状態であり、つまり、腎機能や肝機能を助けるような作用が期待できる漢方薬を処方することで治療します。

 

例えば、前日ほとんど眠れていなかったり、風邪をひいたりしている時に、いつもより「めまい」の症状が重く出現することはないですか?

これは、体力の低下により、腎臓の働きが一時的に悪くなり、リンパ液の代謝も一時的に悪くなった結果です。

 

漢方では、

短期的には・・・、身体の疲れを取るような(元気にさせるような)方剤(葛根湯など)
長期的には・・・、腎機能や肝機能を助ける効果が期待できる方剤(六味丸や五苓散など)

と、分けて処方することもあります。

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