ノロウィルスによる食中毒について
ノロウィルス食中毒症とは?
『ノロウィルス食中毒』は、昔は『お腹にくる風邪』と言われていた様な、我々の生活のすぐ近くに存在していた病気の1つです。
不顕性感染(症状の無い方)や軽症の方を含めると、乳幼児では毎年 数~数十万人がノロウイルスによる『感染性胃腸炎』に罹患し、これに成人、高齢者を加えると数百万人が罹患していると推測されます。
医学の進歩により、今までは「何が原因かな?」程度で済んでいた下痢が、「実はノロウィルスだった!」と分かってしまった(?)ため、重い症状も軽い症状も全部まとめて『ノロウィルス食中毒』と診断され、騒ぎが大きくなっている印象を受けます。
実際、症状は1~2日程度で改善することが多く、一般生活できる体力がある人が 生命の危機に陥るようなことは ほぼ ありませんが、まれに激しい下痢を伴う事があるので『脱水症状』に注意が必要です。
対策は、嘔吐・下痢によって喪失した水分と同じ量の お茶やスポーツドリンクなどの水分を必ず飲む(吐いても吐いても、その分 飲む)ことです。(とくに乳幼児や高齢者はご注意ください。)
ノロウィルス感染症の発症時期
まずは、以下のグラフを ご参照ください。
この件数は病院受診した患者数なので、実際は もっと多いと推測できますが、毎年11月~3月にかけて爆発的に増えているのがわかります。
この『季節性がある』ことがノロウィルス感染症の特徴の一つですが、では、なぜ季節性があるのでしょうか?
ノロウィルスの感染パターン
感染経路をイラスト化しました。(イラストをクリックすると別枠で拡大します。)
本来、ノロウィルスは、消毒や加熱処理などで簡単に死滅します。
(注)キッチンハイターなどの次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は有効ですが、アルコール消毒は無効です。
そして、ノロウィルスは 空中を浮遊したり 二枚貝の中に入り込んだりして生息することができますが、ヒトの体内でしか増殖できません。
現代社会は清潔になっているから、理論上、ノロウィルスの感染機会は減少しているハズですが、前出のグラフのように季節により爆発的に感染者数が増えるのは、牡蠣などの二枚貝の生食が関係しているからです。
(注)シジミ、アサリ、ハマグリも二枚貝ですが生食の習慣がないから発症しないだけで、牡蠣だけが悪いのではありません。
ヒトの排泄物や吐物は、下水を通り 汚水処理施設で処理されますが、その時、一部のノロウィルスが浄化処理をかいくぐり、そのまま河川に排出されます。(この時は、人体にほとんど影響のない濃度です。)
そして、ウィルスが海に到達すると、プランクトンなどのエサと同時に二枚貝がウィルスを体内に吸い込むことで、ウィルスが濃縮されます。
また、他にも 季節の変わり目による体力(免疫力)低下も大きな問題です。
前途の通り、体力がある人なら症状はそれほど重篤化しません。
ノロウィルス食中毒にならないためには、
1:家に帰ったら手洗いをする。
2:家でもトイレに行ったら手洗いをする。
3:調子の悪い時には牡蠣などの魚介類を生で食べない。
4:調子の悪い時には、体力を温存させる。(早く寝る。)
といったことを徹底することです。
季節の変わり目に無理をせず、体力を温存するような生活や漢方薬を用いて感染しにくい体力状態にしておけば、心配は要らないと思います。
偏見や不安・恐怖のあまり、間違った行動をしないようにしましょう。
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