なぜ半身浴は身体に良いのか?
血流についてのおさらい
心臓は全身に血液を送るのが仕事ですが、〈心臓は収縮する力は強いけれど拡がる力はそれほど強くない〉ということを ご存知ですか?
肺と心臓の動きは似ているので肺の動きで説明すると、例えば、目の前にワタ埃があった時、それを吹き飛ばす事は簡単にできますが、空気を吸い込んでワタ埃を動かそうとしても全然動きませんよね?
肺も心臓も〈押し出す力が強い〉=〈戻す力は弱い〉のです。
つまり、
心臓が、血液を押し出す力(動脈圧)は重力の影響を受けないくらいに強い圧なので 頭の先にも足先にも均等に血液を流すことができますが、血液を戻す力(静脈圧)は重力の影響をまともに受けるので 全体的に下半身の血流が悪くなります。(血液を押し出すことはできるけど戻りにくくなる→だんだん押しにくくなるので、結果的に血液が流れにくくなります。)
ということは、我々の身体は、慢性的に
上半身の血流 > 下半身の血流
上半身の体温 > 下半身の体温
という状態なのです。(これは、体の中で一番熱いものは血液だからです。→身体の中で一番熱いものって何? 参照。)
ここで、 もう一つ重要なことがあります。
それは〈我々の身体は温度差がある場所ほど寒く感じる〉ということです。
身体に冷たい風が当たると 、下半身よりも体温の高い=冷たい風との温度差の高い上半身の方が より寒く感じ、タイツよりも先に上着を羽織りたくなるのです。
これは、本能的に脳の血流を保つことを最優先しているのかもしれませんね。
寒い日の入浴は肩まで浸かりたいのが人情?
多くの人は、夜、お風呂に入ると思いますが、この時、下半身(特に脚)は、日中の疲労の蓄積で上半身に血液を戻すことが出来にくくなっているため足がむくみ、冷え切っており、逆に、上半身は、午前中よりも血液が多く流れていて体温が上昇しています。
この時、「あ~お風呂に入って温まりたい」と、寒い脱衣場で服を脱いだ瞬間、急激に上半身の寒さを感じます。
すると、本能的に上半身を温めたいと思い、首まで湯船に浸かりたくなるのが人情(?)で、実際、そうした方が上半身が温まるので すぐに気持ちよくなります。
しかし、ここからです!
身体の中で一番温かい血液が、お風呂のお湯で もっと温められるので、この状態では、上半身の温度が急上昇してしまいます。
すると、下半身の血管が拡張して やっと温まり始めた頃には、上半身は すっかりのぼせてしまい「もう十分温まった」と感じてしまうのです。
これと同じ理由で、疲れ切っている時や のぼせ の症状が強い時に長時間サウナに入ることも あまり おススメできません。
時間をかけてゆっくりと下半身の血管を拡げ、上半身と下半身の温度差を無くし、全体的に体温を上昇させると、身体はリラックスすることができます。
半身浴の方が おススメなのは、こういう理由があるからです。
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