『若年性更年期障害』という病名は無い!!・・・でも、ある!?
若年性更年期障害という病名は本当は存在しない
最近、『若年性更年期障害』とか『男の更年期(障害)』などという言葉を耳にすることがありますが、厳密に言えば、これは間違いです。
辞書で調べると『更年期』とは「卵巣機能からみた女性の性成熟期から老年期への移行期」と定義されています。
つまり、『更年期障害』とは「女性が閉経を迎えるような年代に起こった障害」のことなので、言葉遊びみたいになってしまいますが『若年性更年期障害』『男の更年期(障害)』といった用語は、我々からすれば、『中国語しか教えない英会話学校』『中身がマグロのトンカツ』みたいな違和感があります。(関西風にツッコめば「更年期ちゃうやん」みたいな・・・)
・・・というのは、アタマのカタい お役所的(?)な言い分でして、実は、東洋医学からみると(用語はともかく)「若い時期や男性にも更年期障害と同じような症状が起こることがある」という点においては、間違っていないと言えます。
更年期障害の定義
具体的には、更年期障害とは
「更年期の女性に認められる、器質的変化に相応しない不定愁訴を主体とする症候群」もっと平たく言えば、
「具体的な病気はないけれど、のぼせ・発汗過多・イライラ・抑うつ・頭痛・めまい・耳鳴り・・・などといった症状がみられる状態」
と定義されます。
その原因を西洋医学的に考えると
①「女性ホルモンの分泌量の低下」 ← 90%以上がこれが原因
②「精神・心理的背景」
③「社会的背景」
であり、そのため、ホルモン補充療法が第一選択となります。
これを、『かんぽう×美』風に もっと分かりやすく解説してみましょう。
上記の「のぼせ・発汗過多・イライラ・抑うつ・頭痛・めまい・耳鳴り」といった症状に関しては、これらは、みな「血流障害」からくる症状だと言えます。
全身の筋肉量が少ない人(虚弱状態)や、精神的に高ぶり過ぎてしまっている人などが、各々の理由によって下半身の血流が悪くなった結果、上半身に血流が停滞してしまい(=のぼせ)、上半身を中心に汗をかき、頭に血が上るからイライラしたり落ち込んだり、血液が大渋滞しているので酸素が豊富な血液が隅々まで行かずに肩こり・頭痛が起き、しまいには上半身の血液が多くなり過ぎて耳(三半規管周辺)に浮腫みが生じめまい・耳鳴りが起きるのです。
東洋医学的には、その血流障害が「閉経が引き金になったホルモンバランスの異常」によって生じたから、たまたま『更年期障害』と診断をされた・・・というようなイメージです。
人によっては、『閉経』ではなく『虚弱体質』『栄養失調』『神経衰弱』『不眠』『極度の冷え』などが引き金になって更年期障害と全く同じ症状が、年齢・性別に関わりなく出現することがあり、それが、便宜上『若年性更年期障害』『男の更年期(障害)』というような言葉で表現されているのです。
これらの症状は、決して気のせいなどではありません。「若いんだから更年期障害ではない」「男なんだから更年期障害な訳が無い」といって否定していいのは『更年期』という言葉だけで、症状は確実に存在しています。だから、正しくは『若年性更年期障害様症状』とか『男の更年期障害様障害』などと言うべきでしょうか(?)
ちなみに、男性も女性も若い人も老人も、みんな同じメカニズム(血流障害)によって症状が出現しているので、いわゆる更年期障害の際に用いられる方剤(当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・加味逍遥散など)は、同じ症状で悩まれている すべての人々に対し効果が期待できます。
この記事が気に入ったらシェア!
0
0
いいね!0
1
pocket