風邪をひいている時、お風呂に入っていいの?悪いの?
風邪 vs お風呂
私を含め、今から遠い昔に少年・少女だった方々の多くは、幼少時、風邪をひいたら「今夜は お風呂に入っちゃダメよ!」と言われた経験があるのではないかと思います。
一方、最近(特に西洋)では、「風邪の時ほど お風呂に入って よく温まりなさい!」と言われています。この差って何なのでしょうか?
入浴することの利点
『かんぽう×美』的に考えると、『入浴』することの意義は、何といっても『血行促進効果』です。
血行が促進されることで疲れた身体(筋肉や内臓)への血流量が増加するので疲労回復効果が増強し、また血管拡張作用によってリラックス状態となり安眠効果が期待できます。
これは、湯船に入らずにシャワーだけで済ませてしまう場合とは比べ物にならないくらいの効果です。
また、『かんぽう×美』的に もう少し突っ込んだ話をすれば、湯船の入り方(半身浴!)も重要だと考えていますが、それは以前に投稿しましたので今回は省略します。(→詳しくは、こちら。※クリックすると別枠で開きます。)
「今夜は お風呂に入っちゃダメよ!」の理由
『風邪vsお風呂』の解釈の違いは、今から数十年前の日本の生活様式に関係しています。
昔の家屋は、すきま風が多く、部屋に暖房はあっても脱衣所や浴室にまで設置している家庭は皆無でしたし、浴室が母屋から離れているケースや、浴室自体が無く、夜に銭湯に通うといったケースがほとんどでした。
一般的に、銭湯の湯船のお湯は とても熱いので体力の消耗を来しやすく、そして、お湯に浸かって温まったとしても帰宅途中に外気に当たって湯冷めしてしまうことが多く、風邪をひいている状態で風呂に入るのは症状を悪化させる危険性が高かったのです。
つまり、当時は【入浴の利点】<【入浴の欠点】となっていたので「お風呂に入っちゃダメ!」と言われていました。
「風邪の時ほど お風呂に入って よく温まりなさい!」の理由
一方、現代の風呂場事情は、みなさんも ご承知の通り、昔と ずいぶん変わっています。
部屋の気密性が高まり、すきま風が吹く部屋は ほとんど見られません。また、浴室にも暖房を設置している家庭も増えてきており、冬の寒い季節でも湯冷めをする危険性が少なくなっています。
昔のような【入浴の欠点】を心配をする必要が無くなった訳ですから、【入浴の利点】を最大限引き出せるような入浴の仕方であれば入浴の意義は逆に大きくなります。
先程説明した【入浴の利点】以外にも、風邪をひいた際には、
①皮膚を清潔にすることで、新たな風邪の原因となる病原体の侵入を防ぐことができる。(洗い流す。)
②病原体(ウィルスなど)は低温乾燥を好む性質があるので、入浴による温熱・保湿効果で病原体の活動を抑えることができる。
③発汗効果によって、『血液』だけでなく、リンパ液などの『水』と、『気』の巡りが促進される。(「病は気から」という言葉の「気」は、この気です。)
といった効果も期待できますし、漢方薬による『血行促進効果』と、入浴による『血行促進効果』は相乗効果となり得ます。
入浴しない方がいい場合もある!
とはいえ、やはり、現代社会でも入浴しない方がいい場合もあります。
具体的には、
□体温が平熱の2~3度以上に上昇している。
□強い悪寒や全身倦怠感がある。
□痒みを伴う湿疹が出現している。
□めまい・立ちくらみ・頭痛などの症状が出現している。
□脱水症状がみられる。
などが挙げられますが、自分自身で「ちょっとマズいかも?」と思ったら、無理はしない方がいいです。
他にも、いわゆる『ヒートッショック現象』と呼ばれるような急激な寒暖差による症状を予防することも重要です。
また、入浴後は、水分補給(温かい飲み物の方が良い)、髪の毛を乾かす、入浴後1時間以内に布団に入る、などの行動を取ることも重要です。
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