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不眠

西洋薬と漢方薬のちがい 〈不眠症編〉

この記事の所要時間: 340

『睡眠薬』と『不眠に効く漢方薬』との違い

 

多くの方が経験したことがあるかもしれない『不眠』。

以前の投稿で、睡眠のメカニズムについて解説しましたが、要約すると・・・自律神経の1つである『交感神経』が活発に働いている時は、身体が緊張しているので深い睡眠が得られません。つまり、寝る直前に『副交感神経』が働いてリラックスした状態にすることが安眠のコツなのです。

 

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とはいえ、我々は「よし、今、リラックスしよう!」と思えばリラックスできるのか?と言うと そう簡単には行きません。

例えば、寝る前に39~40℃の お風呂で時間をかけて ゆっくり半身浴をしたり ストレッチしたりすることで血行を良くする方法が王道ですが、大きなストレスを抱えていたり 体力が低下しすぎたりしている人では、良い効果が得られないケースもあります。

 

すると、まず頭に浮かぶのは「不眠症を治してもらうために病院に行って『睡眠薬』を処方してもらおう」ということになりますが、睡眠薬(正式名称は『睡眠導入剤』)は、

①睡眠薬を内服することで、睡眠薬の成分が血中に溶ける
②脳内の睡眠薬の血中濃度が上昇することで脳の活動が停止する
③脳の活動が停止するので眠くなる

という作用によって眠ります。

 

しかし、これは「アルコールを飲んで眠くなる過程」と似ています。

 

アルコールと睡眠薬とでは身体に対する影響は異なりますが、少し乱暴な言い方をしてしまうと、両者とも脳の活動を停止させているだけで、身体全体が深い眠りについているかどうかといえば そうではないかもしれません。

 

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一方、漢方薬による不眠症治療は、上記で言うところの「血行を良くする治療」になります。

 

みなさんは、緊張してたのにマッサージを受けている最中 や コタツに入っている時に急に眠くなった・・・といった経験は ありませんか?

これは、筋肉がほぐれたことや、外からの熱によって直接 血管が拡がった結果、血行が良くなってリラックスしたのです。

 

漢方薬は、この「血管拡張作用」を重視します。

つまり、『不眠症に効く漢方薬』は、血管拡張作用によって副交感神経の作用を活発にさせることが目的であり、漢方薬が脳に直接作用して眠らせようとしている訳では ありません。

漢方薬によって「コタツに入った時のような血行動態にしている」のです。

 

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不眠治療におけるハイブリッド漢方

 

西洋医学を否定しない東洋医学を提唱している『かんぽう×美』的に不眠症治療についての提案をすると、

①寝付きは良いが寝相が悪かったり寝言を言ったりして睡眠が浅い、夜中に目覚める、目覚めが悪い etc.
・・・漢方治療
②急性のストレスなどが生じて考え事をして寝付けない、明日 大事な用事があって どうしても今寝なければならない etc.
・・・睡眠薬(睡眠導入剤)と漢方治療の併用

となります。

 

 

睡眠薬(睡眠導入剤)は、文字通り「睡眠の導入(寝入りばな)に効果のある薬」です。

寝る直前に交感神経の働きが高まってしまっている方で、どうしても今すぐに寝なければならない時には睡眠導入剤は効果的ですが、この薬は一時的に脳の活動を停止させているので、薬効が切れたら(=血中濃度が下がったら)元の状態に戻って途中覚醒してしまう可能性があります。

 

そのため、漢方薬と併用することによって、

①睡眠導入剤によって寝入りばなを寝かせる
②睡眠導入剤の効果が切れる頃には漢方薬による血管拡張作用が働いてリラックス状態を維持する

という原理が成り立つと思います。

 

漢方薬にしろ、西洋薬にしろ、「飲んでも飲まなくても同じ(医学的に効果が無い)なら飲む必要は無い」ですが、逆に、「必要な時には飲んだ方が良い」のです。

 

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