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「漢方薬を飲んだのに効果を感じない」の大誤解

この記事の所要時間: 30

漢方薬が効いてない!?

 

※私の経験上の話です。
初めて漢方薬を服用して1カ月が経過した患者さんに「体調は いかがですか?」と尋ねた時、「う~ん、何も変わっていない気がします・・・。」と言われる事があります。

医者に なりたての頃は、この言葉を聞くと心の底からガッカリして落ち込んでいましたが、実は、これはバラエティ番組風に表現すると「漢方治療あるある」です。

 

 

 

よく話を聞いてみると・・・

 

「何も変わっていない」と感じている患者さんに 聞き方を変えて、「トイレの回数は変わりましたか?」とか「胃もたれの頻度はどうなりましたか?」と尋ねると、「言われてみれば良くなった気がします。」という回答が得られたり、脈診や腹診をしてみると明らかに体調が改善していたりするケースが多々あります。

 

この状態を『山登り』で例えてみます。

 

登山家(=患者)は、ゴールである山頂(=症状改善)を目指し 一歩一歩 踏みしめて登って行きますが、経験が浅い人ほど上方向ばかりに目が行きガチになります。

1~2時間くらい一生懸命 登ったのに、見上げると 、ゴールは まだまだ はるか彼方。

「全然着かないよ~。」とテンションが下がっていると、経験者から「後ろを見てごらん。」と言われ、初めて、「ああ、こんなに長い距離を上がってきたんだな。」と感じるものだと思います。

 

 

 

例えば、『めまい』を治したくて漢方治療を受けた患者さんが、漢方内服1カ月後に「トイレの回数は どうなりましたか?」と聞かれたとしても、「そんなの どうでもいいじゃないか!」って思うかもしれません。

でも、『めまい』は東洋医学的にみると『むくみ』が原因で、身体の中の余分な水分を排出させること、すなわち、腎臓の働きを助けるような効果が期待できる漢方薬を処方することが、れっきとした治療法なのです。
(※詳しくは こちら → 「めまいを本気で考えると漢方治療の本気が見えてくる!」)

 

『めまい』の症状のインパクトが強すぎて、それを治したい(=ゴールに到着したい)という想いから、他の事に目が行かなくなってしまうのは仕方がない事です。

山登りの例えに戻りますが、早く山頂に行きたいからと やみくもに突き進んで断崖絶壁を よじ登るよりも、少し時間は掛かっても、初心者が楽に行ける迂回コースを自分のペースで歩んだ方が、身体に負担なくゴールすることが出来ます。

 

 

 

「なかなか良くならない!!」
と、焦ってしまうと今の身体の状況が もっともっと見えにくくなります。

そういう時は、
「漢方薬を飲み始める前と比べて どうだろうか?」
「去年の今頃は どうだっただろうか?」
などと、考えてみてください。

 

「そう言われてみれば・・・」と、思い当たるフシがあるかもしれません。

 

 

 

漢方治療では、この「そう言われてみれば・・・」が重要です。

 

今まで頑張って漢方薬を服用し、身体を労わりながら生活していた事は無駄ではないのです。
(自信を持ってください!これからです!!)

 

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